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Mellanox

Inter BEE 2018 出展報告

Inter BEE 2018 出展報告

2018年11月14日(水)~16日(金)に幕張メッセで開催された、(第54回)国際放送機器展2018、通称Inter BEE2018にメラノックステクノロジーズジャパンと共同で出展(ホール7ブース番号7208)致しました。現在、放送のIP化は、Joint Task Force on Networked Media (JT-NM)の定める最新のロードマップ(PDFファイルが開きます)によれば、「II. Elementary flows」から、「III. Network & Resource Management」に、技術的なフォーカスが移りつつあります。今年で4回目となるこの共同出展では、このロードマップを踏まえ、「Mellanoxで加速するVideo-over-IPネットワーク」と題してメラノックスが推進するEthernet Video Fabric (EVF)をシンプルに具現化したデモ展示を行いました。

Inter BEE 2018 展示パネル (ブース壁面図)

SMPTE2110プロトコルによるIP伝送での接続デモ

Mellanox SN2410スイッチにセイコーソリューションズ様のTime Server TS-2950から、グランドマスタークロックの供給を受け、スイッチからバウンダリークロックで、高精度時刻同期プロトコル(PTP)を対面のAJA Video Systems(以下AJA)様に設置のMellanox SN2010スイッチに供給、これに同期する形でAJA様ブースのメディアサーバー(仮称)より、SMPTE2110のプロトコルでビデオ画像をSN2010、SN2410 の二台のスイッチを経由しAJA様のIP-to-HDMIコンバーターでHDMIに変換し画像を表示していました。

Inter BEE 2018 SN2000 シリーズスイッチ

 

本デモのポイントとして:

  • グランド・マスタークロックを受けたSN2000シリーズ(SN2010、SN2410)スイッチは、PTPをバウンダリークロックで接続された各機器に対し配信可能であるという事。
  • 当ブースでのデモでは、SMPTE 2110プロトコルを活用した映像伝送デモとなっていますが、この他にもホール3で開催されたInter BEE IP PavilionでMellanoxが参加した SMPTE2022-6プロトコルのインターオペラビリティ、また、SONY IP LIVE等のプロトコルで、IP伝送を行うために必要な、例えばSMPTE2202-5として定義されているForward Error Correction(FEC)、SMPTE2059-2/IEEE1588-2008、IGMPv3、Priority-based Flow Control(PFC)、OpenFlow (v1.3)などのネットワーク機能を備えたスイッチである事。
  • AJA社のIP-to-HDMIコンバーターに加え、他のデモで活用したEmbrionix社のSDI-to-IP/IP-to-SDIコンバータなど様々なコンバーターとの相互検証が確認済みである事。

を提示しています。

SN2000シリーズ製品ページ

スイッチ上にAMWA NMOS IS(Interface Specification)-04 機能の実装

SN2000シリーズスイッチは、x86ベースのCPUと8GBのメモリを搭載しており、スイッチOS上で仮想化環境あるいは、準仮想化環境を提供可能な唯一のスイッチとなります。今回のデモでは、SN2410スイッチ上に準仮想化環境を設定し、NMOS IS-04の機能を実装したDockerコンテナの動作を行いました。アプリケーションとしてDockerコンテナ上で動作する、Reidel社がオープンソースで提供する NMOS Explorerを画面に写し、実際にNMOS仕様に準拠したEmbrionix社のSDI-to-IPコンバーターemSFPシリーズをSN2410スイッチで抜き差しを行い、それに応じてNMOS Explorer上で、機器の「Discover」と「Registration」が行われる様を、確認いただいておりました。

 

Inter BEE 2018 Demo Monitor #2NMOS Explorer

本デモのポイントとして:

  • スイッチ本来の機能にDockerコンテナを介して更に機能を拡張可能である事。
  • Mellanoxでは、Dockerコンテナ上から、スイッチに接続されたネットワークにアクセス可能である事。

これらにより、SN2000シリーズスイッチでは、NMOS IS-04に限ることなく、更なる機能の実装など柔軟性の高い運用を行える可能性を示唆しています。

Mellanox White Paper(英語) : Tailor Made Network Operating System

 

ネットワーク・テレメトリ

IP伝送において、何らかのトラブルが発生した場合、先ず映像側かIP側の問題なのかを素早く切り分ける必要があります。そのため、ネットワークを監視することは、普段から重要な点ではあるのですが、従来ネットワークの監視はSNMP経由でスイッチにアクセスして情報をもらう形で行われていました。この手法では、実質的に分単位の頻度での監視しかできず、秒単位のネットワーク障害を取りこぼす可能性が有るため、放送業界が望むリアルタイムの監視にはほど遠いものがございました。このため、SN2000シリーズのスイッチでは、テレメトリエンジンを搭載しており、包括的なスイッチ管理ツールMellanox NEOが動作するサーバに対し、秒単位の頻度においてPush型でテレメトリ情報を提供可能となっています。今回のデモではNEOとオープンソースの可視化ツールを併用することで、ネットワークのトラフィックをグラフにてほぼリアルタイムの更新で確認可能となっています。スイッチのテレメトリ情報は、様々な形でお見せ可能ですが、今回はより分かり易くするため、以下のチャートでお見せしておりました。

Mellanox Switch Telemetry #1Mellanox Switch Telemetry #2

 

ZTP(Zero Touch Provisioning)

本来は大規模データセンターなどで活用される機能ですが、放送局など常にネットワークのエンジニアが常駐しているわけではない環境でも活用できる機能ではないかとしてご提案させていただきました。通常、放送のIP化で活用されるネットワークは、A系、B系などその経路は冗長化されており、万が一障害が発生し例えばA系がダウンした場合、B系に切り替わり引き続きネットワーク自体は稼働状態にあるものと思われます。ただ、ダウンしたA系は素早く復旧し正常な冗長構成に戻す必要があります。従来のSDIの機器では、機材を交換すればそのまま活用可能なことが多いなか、例えばネットワークスイッチはダウンすれば、例え機材が準備されていてもエンジニアの到着を待ってスイッチのポート速度やポート間のルーティングの設定を行う必要があります。ZTP機能は、ZTPサーバなどのスイッチの周囲の環境を整えることで、交換後の工場出荷状態のスイッチに対し、電源を入れるだけで、ZTPサーバから現在活用中のネットワーク(スイッチ)OSのOSイメージをダウンロードし自身に適用した後、交換前のスイッチが正常稼働状態であった時に保存したスイッチの構成情報をサーバからダウンロードし適用することで、素早く以前の構成に復旧することを可能にします。

 

ストリーミングのオフロードとパケットペーシング機能

Rivermax-box

映像のストリーミングでは、フルの帯域幅で伝送するデータセンターのデータ転送とは異なり、ある一定量のデータを一定のタイミングで送り続ける必要があります。Mellanoxは、このストリーミング向けのミドルウェアとして、同社のConnectX-5 ENカードと組み合わせて活用する、Rivermaxソフトウェアを提供しています。Mellanox ConnectX-5 ENカードには、ネットワークへのストリーミング配信をCPUからオフロードするハードウェアのオフロードエンジンが搭載されています。Mellanoxは、このカードのハードウェアオフロード機能に合わせて、SMPTE2110-21に準拠したパケットペーシングを実現するミドルウェアとして、Rivermaxの提供を行っており、今回実機でのデモを行いました。RivermaxとConnectX-5 ENカードを搭載したサーバからのSMPTE2110プロトコルの映像をSN2410スイッチを介し、AJA社のIPR-10G-HDMI で、SMPTE 2110-to-HDMIでHDMIに変換したものを画面に出力致しました。

 

Mellanoxは、このように「II. Elementary flows」でのSMPTE 2110仕様への準拠や、「III. Network & Resource Management」で示されるAMWA NMOS IS-04対応など単にJT-NMのロードマップをトレースするだけではなく、「放送のIP化」の先端を走るメーカーであるからこそ、ネットワーク・テレメトリやZTP機能など、独自に提案可能なものがあります。

Inter BEE 2018 Booth

今年のInter BEEでは、当ブースだけではなく、ホール3のINTER BEE IP PAVILION ー IP実機接続デモ ーでのSMPTE ST 2022-6インターオペラビリティへのMellanox SN2410スイッチの出展に加え、株式会社朋栄、株式会社東通インターナショナル、スチューダー・ジャパンブロードキャスト株式会社、セイコーソリューションズ株式会社、アイディールシステムズジャパン株式会社、株式会社フォトロン、株式会社エヌジーシー、日本電気株式会社、ビジュアル・グラフィックス株式会社、AJA Video Systems、共信コミュニケーションズ株式会社など、ホール3~7のパートナ―各社のブースにおいてもMellanox製品をご展示いただいておりました。各社のブースでMellanox製品に気づかれた方も多かったのではないかと推察致します。

 

最後になりましたが、メラノックステクノロジーズジャパン・弊社共同出展ブースに多くの方のご来場、誠にありがとうございました。今回の出展において、Mellanox製品のご案内に際し具体的な案件のお話しをいただいたりと、放送のIP化が、より現実的な話として進んできていることを改めて感じたイベントでございました。販推担当の豊原がお送りいたしました。